家を買うなら、出口戦略もセットで
数ヶ月前、大阪で一人暮らしをしていた母を呼び寄せました。
実家にある家財道具は、長年にわたり使い続けたものばかり。
新居とともに買い替えた方がいいと判断し、家財道具の大半は処分したのでした。
がらんどうになった実家は、すぐに空き家へと変わります。
誰も住まなくなったこの家をどうしていくのか・・・ですが。
現実的に考えてこの先、私が実家を相続したとしても、住む可能性はありません。
自宅の状態からして、これ以上居住するのは難しいからです。
築60年近い建物。あちこちの床がへこんでるわ、建付けは悪くなっているわで。
もし「終の棲家」として居住するとなれば、相当のリフォームが必要です。
いや、リフォームどころの話ではないでしょう。
土台もかなり弱くなっているはずなので、もし居住するとしたら、多額の費用をかけて、全てを建て直す必要があります。
長年、親が住んでいた家を売却するのは忍びない・・・という方も多くおられるようですが。
この先は誰も住まないのであれば、血の通わない、維持管理するだけの建物となります。
空き家になった地点で結論は決まっていたので、早めの売却を考えはじめたのです。
交通の便はよい場所だったので、誰かが新しい生活を始めて、この土地を活用してくれるのを願いました。
とはいえ住宅というのは、立地さえ良ければイイというものではありません。
他の条件を照らし合わせると、決して売却しやすい物件ではなかったのです。
不動産に詳しい知り合いからは、「売却まで数年は覚悟がいるかも・・・」と言われましたし。
それならば、売れるまで気長に待てばいいのか・・というと、そうも問屋は卸しません。
住宅というのは、保有するだけでコストがかかります。
わかりやすいのは、毎年の固定資産税ですが。
空き家の維持管理も持ち主の責任です。あまりに荒れ放題にしていると、近所迷惑になりかねないので、時々手入れに行かなければいけません。
窓を明けて空気を入れ替え、拭き掃除を行う。
玄関前の雑草を抜く。
ポストに放り込まれるちらしを処分する・・・などなど。
メンテナンスのために、水道と電気は止められません。
あと、万が一の火災を考えての、火災保険の契約も必要です。
日帰りで通える距離ではあるものの、交通費も馬鹿になりません。
最初はよくても、年を経るごとに、それなりの費用が積み重なっていきます。
また私自身が年齢を重ねると、実家に行くこと自体にも負担を感じていくのが予想されます。
今、地方を中心に、空き家になった実家を持て余しているという話は、ちらほら耳にしてましたが。
まさにコレ!だったのですね。
手をこまねいても仕方がないので、自分なりに情報収集に務め、不動産屋さんにも話を聞きにいきました。
数年はかかることも、半ば覚悟を決めていたのですが・・・。色々とご縁があって、早めに売却が決まったのです。
売却の際、介護費用の足しになればと目論んでいました。
実際には足しにするには心もとなく、持ち主であった母はがっかりしていましたが・・・。私自身は色々と調べた上で想定内だったので、良しとします。
実家の管理が私の代では終わらず、子供にまで及ぶかも・・と一抹の不安も募ってましたので、肩の荷がスッとおりました。
ただ、実家の件を経験して思うことですが。
「不動産は、出口戦略が大事!」
購入するときは、未来の暮らしに希望がひろがり、手放すときのことなど考えにくいものですが・・・。
一戸建て住宅は、購入から取り壊しまでが、持ち主の責任です。
多少の難に目をつぶって買ってしまうと、いざ手放すときに、売りづらくなってしまいます。
まして、今後は少子化で住宅需要も減っていくでしょう。
住宅を取得するなら、出口戦略も合わせて検討することをおすすめします!