【映画コラム】42~世界を変える男

 

42

米国のメジャーリーグでは毎年4月15日に、選手全員が背番号「42」のユニフォームを着る習わしがあります。

この4月15日という日は、本作品の主人公でもあるジャッキー・ロビンソンが初めて、メジャーリーガーとしてプレーした日です。
公民権運動のさらに20年近く前に、黒人選手として入団したというのですから、当時、どれだけの差別や批判を受けたのかは、想像に難くありません。

チームメートたちには、「黒人入団拒否」の嘆願書が提出され
メジャーリーグで戦う相手チームからは「黒人とはプレーしたくない」と言われ
宿泊先のホテルでも拒否され、観客からも差別用語のオンパレードで・・・

それにしても、です。ただ肌の色が違う、そんな謂れなき理由で、なぜここまで理不尽な仕打ちを受けなければならないのでしょうか。

「黒人選手がプレーした前例のない環境の中で、偉大なプレーヤーでありかつ立派な紳士でなければならない、差別に対して仕返しをしない勇気を持つんだ」

ジャッキーを引き上げた白人マネージャーであるリッキー(ハリソン・フォード)が、事あるごとに彼を励まします。ジャッキーもその言葉を胸に刻み、拳を握りながらも耐えぬいていくのですが。

しかし、我慢にも限度があります。
容赦なく投げつけられる相手チーム監督からの差別発言にこらえきれず、ジャッキーは球場の裏に駆け込み、折れるまでバットを叩きつけたシーンがありました。

しかし、相手に怒りをぶつけても、何の解決にもつながりません。
黒人への憎悪がさらに増すだけです。
差別がまかり通る時代、白人たちを黙らせるには、たった一つしか方法がありませんでした。

有無も言わせぬほどの結果をだすこと。
そして、チームに貢献すること

人間扱いされない、そう言っても過言ではない状況の中で、ジャッキーは実力を発揮しはじめました。差別に耐えながら懸命にプレーするジャッキーの姿に、チーム内の白人たちも態度を軟化し、徐々に手を差し伸べるようになったのです。

そして、チームを優勝へと導きました。

最初はただただ、メジャーリーグでプレイをしたかっただけかもしれません。
しかし、単なる個人の夢や目標だけでは、あれほどの苛酷な日々を乗り越えられなかったでしょう。

私たちが大いなる勇気が湧き上がるのは、個を超えて、誰がために何かを成し遂げようとするときです。黒人である自分が、メジャーリーグで結果を出すことの意味を明確に理解したのではないでしょうか。

ジャッキーを道を開いてくれたおかげで、翌年以降も続々と黒人メジャーリーガーが誕生しました。
様々な有色人種たちがマウンドに立つ、現代のメジャーリーグに繋がっています。

日本にいる私たちが、メジャーリーグでのイチローの活躍を観ることが出来るのは、ジャッキー・ロビンソンが先駆者として困難な道を引き受けてくれたからでしょう。