【エッセイ6】至福を生きる人に触れる

私が敬愛する神話学者、ジョセフキャンベルがよく語っていたフレーズに、

『Follow your bliss(あなたの至福に従いなさい)』

というのがあります。

至福とは「この上もない幸せ」と辞書では説明されていますが、キャンベルが言っているのは、もちろん、単に美味しいものを食べたり、温泉に浸かって「あぁ~幸せ〜」という以上のものですね。

かつて、この「至福」を生きている人と出会ったことで、大げさかもしれませんが、人生が変わった体験があります。

 

大学生のとき、通販会社の倉庫でアルバイトをしていたことがあります。

そこで知り合った少し年上の先輩が、毎日、プールに泳ぎに行っているという話をしていました。

あぁ、この人はきっと昔から泳ぐのが好きで今も続けているんだなぁと思って、「小さい頃から泳いでいたんですか?」って聞いてみたんですね。

そしたら、「いや、2年ほど前から」と意外な返事が。

ビックリして「えっ、大人になってからなんですか?」と聞くと、

「そうだよ。スイミングスクールに通ってね。」と、サラッと答える彼。

「どうして、大人になってから習おうと思ったんですか?」と、私。

すると、一言、

『オレ、泳げなかったし、泳げるようになりたかったから』

 

実は、私も小学生のときにスイミングスクールに通っていました。

でも、息つぎがちゃんとできる前に辞めてしまったので、25メートルも泳げなかったんですね。

幸い、中学、高校とプールがなかったので、体育の授業で困ることもなかったんですが、「もうずっと泳げないままなんだろうな」と諦めてました。

でも、そのバイトの先輩が言った『泳げなかったし、泳げるようになりたかったから』というあまりにも純粋な気持ちに心打たれて、僕も本当は泳げるようになりたいんだ!という本心を思い出したんです。

そして、近くのスイミングスクールに小学生のとき以来、再び通い始めました。

 

おかげで今では、クロール、平泳ぎ、背泳ぎは体力の続く限り、泳げるようになりました。(ちなみに、そのスイミングスクールに娘が今、通っています。娘はバタフライも泳げるようになったので、「パパよりも上手でしょ」とドヤ顔で勝ち誇ったように言ってきます(笑))

 

純粋な歓びから生きている人、「至福」に生きている人に実際に触れると、ノウハウやテクニックを超えた次元で、あなたの中にある魂が揺り動かされ、あなたを至福の道へと導いていきます。

自らが「至福」に生きることで、周りの人が自然と自分自身の「至福」を生き始める。

そんな存在でありたいなって思います。