【エッセイ80】過渡期をどう過ごすか?

過渡期という言葉を耳にしたことはありませんか?

過渡期を英語ではトランジションと言います。
海外旅行で飛行機を乗り継ぐときに使う「トランジット」と語源は同じです。

20年近く前になりますが、前職を辞めた後、ペルーのマチュビチュに行ったことがあります。

当時(今もですが)、ペルーへの直行便は無く、関西空港からアメリカのダラスを経由してペルーの首都リマへの旅程で出発しました。

途中、気流の影響でダラス到着が遅れてリマに行く飛行機が出てしまい、一度、マイアミに飛び、そこからリマへのフライトと予定していた時間を大幅に越えてようやく到着。(時計を見たら丸々24時間経っていました……)

同行者が英語を話せる人だったので、何とかトラブルにも対応できましたが、一人だったらどうなっていたかと思うと、今更ながらゾっとします。

 

さて、話がそれました。マチュピチュ旅行記をお話ししたいわけではなく(笑)、人生の過渡期(トランジション)をどう過ごすか? について思うところを書いてみます。

最初の飛行機から別の飛行機に乗り換えるときがあるように、人生においても様々な乗り換え、乗り継ぎがあります。

卒業から入学や入社。退職から転職や独立。独身から結婚、結婚から離婚、再婚。出会いと別れ。そして、また新たな出会い・・・

この別れから新しい出会いのように、ある段階から次の段階へ移る時期が、過渡期(トランジション)です。

この過渡期ですが、本人にとっては初めてでも既に大勢の人が経験しているものもあれば(小学校卒業から中学校入学のように)、

周りに同じような経験をした人が少なくあまり前例がないものもあります(公務員を辞めて独立起業するなど)。

次のステップが見えていれば、不安はあっても同時に未来への期待もあるでしょう。

しかし、これまで慣れ親しんだ役割が終わるけれども、まだ次の行き先が見えず、まるで未知の土地に放り出されたかのように途方に暮れる。

そのとき、今までよりどころになっていたものを失うような感覚に襲われ、焦りや不安、心配や恐れといった感情が出てくるかもしれません。

それは決して心地よい感情ではないでしょう。

この前にも進めず、かといって後ろにも戻れない。
そんな時期に差し掛かったときに何が大切か?

一つ挙げるとしたら、

「自分の弱さを安心してさらけ出せる人を周りに増やす」

ことでしょうか。

退職するかどうか悩みに悩んでいた20年前。

只々、自分の話を聴いてくれる人たちがいてくれたおかげで、焦りや不安、心配や恐れといった感情に振り回されながらも、過渡期を乗り越えることができたのだと今振り返るとわかります。

 

別に、話を聴いてくれる人がたくさんいる必要はないんですね。

たった一人でも、そういう人がいてくれたとしたら、不安や恐れが消えることはないけれど、それでも過渡期という未知の大地を一歩一歩、歩んでいくことができるのでしょう。

その体験があなたにもたらしてくれるもの、それが、人生という未知なる世界への信頼感。

 

「人生への信頼」

それこそがこの過渡期がもたらしてくれる祝福かもしれません。