ギヴァー 記憶を注ぐ者

 

アミストラはかく語りき 第31回目は、メリル・ストリープ、ジェフ・ブリッジスが共演した映画「ギヴァー 記憶を注ぐ者」を取り上げます。

これは、児童文学作家ロイス・ローリーの世界的ベストセラー「ザ・ギバー 記憶を伝える者」を、実写映画化した作品です。

ハリウッドのレジェンド2人が共演したにも関わらず、日本ではあまり話題にならなかったようで・・・私もDVD化されるまで知りませんでした。

では、あらすじをどうぞ。 yahoo!映画より

 

文明が荒廃した社会から、人類は完全に平等で争いもない平和な理想郷を作り上げる。その社会で育ち、次世代に記憶を伝える「記憶を受け継ぐ者」に選ばれたジョナス(ブレントン・スウェイツ)は、全ての記憶を持つ「記憶を注ぐ者」(ジェフ・ブリッジス)と対面したことで、恐れや憎悪といった人間の本能的な感情や、理想社会に隠された暗い過去に気付いていく。社会の秩序を守る主席長老(メリル・ストリープ)は、そんな彼の存在を注視しており……。

 

争いを無くし、平和な社会を築きあげるため、維持するためにどうすればいいのか。

メリル・ストリープを長老とする人たちが創りあげたコミュニティが、その答えでした。

全ての苦痛が排除されたかのごとく、整えられた世界。

衣食住すべてが快適に整備されているどころか、気候さえも、人間にとって最も適した状態が常に保たれてます。

 

そもそも、なぜ人と人とは争いあうのか。

突き詰めていくと、人間には感情があるからなのでしょうか。

長老たちは住民たちに薬を投与し、感情を全て、その薬で抑制するようにしたのです。

よく効く薬が、身体のなかの正常な細胞まで壊していくように。

争いのタネとなる憎しみも生まれない代わりに、人を愛する気持ちも失われました。

 

しかし、です。

そのコミュニティにふさわしい人間だけで構成される社会では、代替可能で、標準化された人間しか存在しません。

いかなる争いも揉め事もない、平和な管理社会、それを永久に維持管理していくということは・・・。

言い換えると、永久に何も変わらない世界であり、進化も可能性もありません。

ただただ平穏に無難に人生をまっとうすることだけが、望ましい生き方とされてしまったのであれば・・・

それは「生きている」ということになるのでしょうか?

 

この物語は近未来SFですが、スクリーンの向こう、現代を生きる私たちにも問いを投げかけてるように思います。

暗黙のうちに出来上がった社会通念。

規格化された望ましい生き方。

心の声に従って、そこから外れようとする人を、恐怖という薬で抑えつける

そんなメタファーをも、私は映画のなかで感じました。

 

そういう意味でも、一人ひとりの生き方に一石を投じるような作品でした。