アミストラはかく語りき 第58回目で取り上げるのは、大ヒット映画「グレイテストショーマン」です。

グレイテストショーマン

「とにかく感動した!!」

「生きてるってすばらしいと思える作品!!」

SNSをはじめとして、大絶賛の嵐が吹き荒れています。

では、あらすじをどうぞ (yahoo!映画より)

P・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)は妻(ミシェル・ウィリアムズ)と娘たちを幸せにすることを願い、これまでにないゴージャスなショーを作ろうと考える。イギリスから奇跡の声を持つオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)を連れてアメリカに戻った彼は、各地でショーを開催し、大成功を収めるが……。

 

走馬灯のよう、シーンが目まぐるしくに移り変わっていく・・・

見終わったあと、そのスピード感に軽くフラつきました。

家族思いのバーナムが自分の成功のため、なりふり構わなくなったのも

バーナムが光を追い求めすぎて、大切なものを見失ったことに気づくのも

バーナムと共同経営するフィリップが、団員たちとの絆を深めるのも

心情の変わる兆しはなく、次の場面ではそうなってるという按配です。

大ざっぱな作りだなぁ、そんな印象は否めません。

 

ただし、この映画の魅力はそんなところにはないのです。

後になって、そのことに気づきました。

自分とは違う他者と交流を深めることにより、彼のこころに変化を呼び覚ましたとか。

成功を追い求めるなかで、何かを置き去りにしたことに気づいた など

変化は、時系列の流れに沿って起こるものだと思いがちですが。

本当のところは・・・どうでしょうか?

 

本作で、涙があふれて止まらなくなったシーンがありました。

バーナムのショーの団員たちは、ヒゲを生やした女性や全身入れ墨や、子どもと同じ背丈しかない成人男性など。

世間一般では差別の対象となる人たちです。

彼らはあるとき、バーナムに冷たくあしらわれます。

言葉の刃に深く傷つく彼らをみて、私も胸がキリリと痛みました。

が、次の瞬間、変わります。

人間としての誇りを取り戻そうと、天まで届く声で高らかと歌い上げたのです。

その姿に、心のふるえが止まりませんでした。

・・・なぜだろう?

いや、理由なんてどうでもいいんです。

スクリーンいっぱいに響きわたる歌声、そのど迫力を前に吹っ飛んでしまいます。

プリミティブな心の叫び

何者にも奪うことができない人間の品格

身体の奥から突き上げる 魂の躍動を感じました。

理屈を問わない 荒削りな作品だからこそ

胸ぐらをグラグラ揺さぶってきます。

 

バーナムが、なぜ歌姫リンドの元を離れようとしたのか・・・

本当に大切なのは 家族や団員たちだったとなぜ気づいたのか・・・

そう。人が変わる瞬間に、本当は理由などないのです。

ある瞬間、変わろうとする衝動が、卵の殻を突き破ります。

気がつけば そうなっていた。

変化の理由を、自分なりに言葉でつなぎとめてみても

そんなのは、自分を納得させる言い訳にしかならないのです。

 

人が変わる瞬間は、一瞬よりさらに短い時間なのかもしれません。

変わろうとする衝動を 目でみて聞こえるものとして表現してみたのが

登場人物たちが心の奥底から張り上げる 歌声です。

原因と結果、そしてストーリーに慣れきった私にとっては唐突すぎたのですが

俯瞰の位置からながめた人生は、荒唐無稽のつなぎ合わせなのでしょう。

音と色、ダンスが絶え間なく繰り広げるなか

映像がもつチカラで、体感に直接訴えかける本作品は、超ド級の衝撃でした。