アミストラはかく語りき 20回目となる今回は、当コラムで初めてドキュメント映画を取り上げます。

「立候補」という作品です。

 

マック赤坂さんの選挙活動

 

まずは、あらすじをどうぞ (yahoo!映画より)

 

2011年11月、大阪府知事・市長選挙。橋下徹が仕掛けたことにより注目を浴びる中で立候補した、マック赤坂、高橋正明、中村勝、岸田修といった泡沫(ほうまつ)候補たち。そして、泡沫候補として知られる外山恒一や羽柴誠三秀吉。彼らはほぼ敗戦濃厚な選挙に、懲りもせずになぜ立候補するのか。その真相に迫る。

 

2011年度に大阪府知事・市長の同時選挙が行われたことは、記憶に新しいでしょう。

現・橋下大阪市長が掲げる「大阪都構想」などを争点として、大いに盛り上がりました。

知事選に出馬した7名の立候補者のうち、泡沫候補と呼ばれた4名を取り上げたのが、このドキュメントです。

とはいえ、映画の大部分はマック赤坂さんの選挙活動を追いかけたものでした。

 

この映画を観る限りにおいてですが、マック赤坂さんを始めとした泡沫候補の方は、なぜ選挙に出たのか? 府政をどう変えていきたいのかがさっぱり伝わってきませんでした。

マック赤坂さんは人通りが多い街頭に出向くものの、音楽をかけてノリノリで踊るだけで、政策や公約を口にする場面はありません。

 

インパクトは強いでしょうが、これで彼に投票しようとする人は果たしてどれだけいるでしょうか?

政治家としての資質は未知数と言わざるをえません。

 

それでもマック赤坂さんの生き様には心打たれるものがあったので、このコラムで取り上げることにしました。

 

大阪を変えてくれる - そんな期待感と圧倒的な知名度を得て、当初から維新の会の松井一郎さんの優勢が伝えられてました。

マック赤坂さんとて、松井さんに勝てるとはハナから思っていなかったようです。

それなのに、立候補に必要な供託金300万円を支払い、知事選に名乗りを上げたのでした。

実業家として大きな財をなした彼に対して、金持ちの道楽と揶揄する人もいるようですが、道楽だけで無謀な戦いに挑むとは思えません。

 

何が、彼を動かしたのでしょうか?

 

損得勘定や、合理的に物事を考えれば、負け戦にあえて挑むことなど割に合わないことは選ばないでしょう。

マック赤坂さんにしても、どうしても国政に出たいのであれば、もっと地道に市町村の議員から少しずつ階段を昇る道もあったはずです。

 

ただ、私は思うのです。

理屈では到底説明できない”何か”に、どうしようもなく突き動かされることがあることを。

 

末路を知りつつ時の権力者に逆らった人たちや、不毛な戦いと分かってて挑んだ人たちの姿を、歴史の中では目にします。

その多くは歴史の波に呑まれ、かすかな爪あとを残し去っていきました。

ただ、圧倒的に不利だとは分かっていても、その道に逆らえないことが、人生にはあるのだと思います。

 

どう考えても馬鹿げてて

ドン・キホーテと揶揄されても

誰にも理解されなくても

これまで築き上げてきたものが、崩れ去ってしまうと分かっていても・・・

 

自分を無難なところに押しとどめようと頑張る、安全安心欲求とは真逆の”意思”に従うかどうか、選択を迫られる局面があるかもしれません。

後悔を恐れない選択を出来る人は、一体どれだけいるでしょうか?

 

その人こそが、真の勇者なのでしょう。

 

仮に私が、万が一知事にならなくても、静かな池の中に一石を投じることはできると信じています。
へんな奴が東京から来やがってと、殺されるかもわかんないけども、一石を投じることはできるんじゃないかと。

 

この映画の書籍版とも言える「泡沫候補: 彼らはなぜ立候補するのか」の中で紹介されていたマック赤坂さんの言葉です。

 

泡沫候補: 彼らはなぜ立候補するのか (ポプラ新書)

 

ご存知のとおり、2011年度の大阪府知事・市長の同時選挙の結果は維新の会の二人の圧勝です。

負けた候補者たちは泡のように去っていきました。

 

しかし、最後まで静まり返ったままの池と、一石を投じた後に静まった池とでは、やはり何かが違っているのだと思います。

泡となって消えた彼らの勇気は、近い未来に何らかの布石となるでしょう。