オデッセイ

 

ネタバレ注意!!

アミストラはかく語りき 第32回目に取り上げる映画は、火星を舞台にしたSF大作「オデッセイ」。

主演のマット・デイモンが演じるのは、マーク・ワトニーという宇宙飛行士です。

余談ですが、マット・デイモンは「インターステラー」に続いての「惑星おいてきぼり」を演じてましたね。偶然でしょうか??

さて、あらすじをどうぞ(yahoo!映画より)

火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)。
乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を去るが、彼は生きていた。
空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは生き延びようとする。
一方、NASAは世界中から科学者を結集し救出を企て、仲間たちもまた大胆な救出ミッションを敢行しようとしていた。

火星にひとり取り残されたオトコという前情報から、孤独にもだえながら、絶望に打ち勝ってゆく姿を描くのかと思っていたのですが・・・。

全くちがいました。

安心してください! とにかく明るいワトニーです。

当面の食材となる「じゃがいも」を精力的に作ったり、懐かしい洋楽をガンガンかけながら、火星をドライブしたり。

レッツ! ポシティブを絵に描いたごとくのサバイバルぶりでした。

ストーリー的には飽きさせるところはなく、最後まで楽しめましたが。

一方で、腑に落ちない感満載でした。

火星にたった一人、救助されるかどうかも分からない状況下において、常に生き延びることに前向きでいられるものでしょうか??

苦悩と絶望に飲み込まれそうになりながらも、どうにか乗り越えて、前を向く決意をするのなら分かるのですが。

リアリティに欠けるよなぁ・・・それが観た直後の感想でした。

 

しかし、です。

その観方こそ、リアリティが無いのでは? と自分で気づきました。

ともに火星を探索していた仲間たちが去った当初、地球との通信も閉ざされてしまい、ワトニーも死んだものとされていました。

次に火星探索で人間がやってくるのは4年後の予定で、食料は到底もちません。

このままだと死を待つのみです。

 

普通に日本で暮らす私たちはどんな苛酷な状況であれ、絶望するか希望を抱くか、どちらかを選ぶことは可能です。

また絶望を感じても、すぐに死ねる訳ではありません。

放っておいても何だかんだと生きてはいけるので、死ぬにも意思が必要です。

しかし、ワトニーは違います。

もうダメだ・・・と絶望に身を沈めた途端、すぐそこに死が待ち受けているのです。

それだけではありません。

火星にひとりぼっち。希望を持とうとしたところで、気持ちを立て直すだけではどうにもなりません。

希望すら、自ら作り出さないといけないのです。

だからワトニーは食材となるじゃがいもをつくり、地球での通信を復活させ、どうすれば救助しやすくなるかを考え、行動に移しつづけました。

文字通りの孤軍奮闘のすえ、ゼロから一つずつ希望の芽を育てていったのです。

 

希望と絶望があること。選べること。

極限状況と比べるのもなんですが、絶望にひたれるのは、ある意味余裕があるからではないでしょうか。

ワトニーには、絶望という選択肢さえも与えられなかったのです。

 

極限とまでいかなくても、一寸先は絶望という危機は、私たちの人生の中でも一度や二度はあるかもしれません。

そんなときに負の感情に浸ってしまうと、命取りになりかねません。

無理にでも笑っているうちに、楽しくなってくる。

そんな人間の特性を活かしながら、とにかく目の前の課題に取り組むしかないのでしょう。

日に日にやせ細るワトニーの背中が、前向きに生きるしかない苛酷さを教えてくれました。