コーチングを習い始めた頃、まだそれほど知識も技術も経験もないけれど、クライアントにとっても喜んでもらえた。

そんな体験をしたコーチの方もいるでしょう。

確かにクライアントは喜んでくれている。お世辞で言っているのではないこともわかる。

でも、うまくいった手応えや実感はない。

果たして、これでいいのだろうか?

そんなふうに考えたことがあるかもしれません。

 

もちろん、いつもいつもクライアントから「良かった!」と言ってもらえるわけではなく、微妙な空気のまま終わることもある。

うまくいってもうまくいかなくても手応えや実感はない。

この状態を一言で言うと、「自信がない」ということになります。

なので、「自信」をつけ、手応えや実感を持つために、コーチングに役立つような本を読んだり、心理学のセミナーを受けたりするかもしれません。

 

私もそんな体験を何度も繰り返してきました。

それによって、たしかに質問のレパートリーは増えましたし、応用的なスキルも身についたので、スキルを上手に使えている実感は強くなりました。

しかし、それによってコーチングが本当に上手になったのかというと、当時はうまくなったと思っていましたが、実はそうではなかったことが今ならわかります。

その頃は、コーチングの知識やスキルを増やし、経験を積むことがコーチングが上手になる唯一の方法だと思っていました。

だから、質問のレパートリーを増やし、応用的なスキルを滑らかに繰り出せるようになることに力を注ぎました。

確かにそれによってコーチングの技術は磨かれたでしょう。経験も積み上がっていきました。

 

しかし、本当の意味でコーチングが上手になること、つまり、コーチングによってクライアントが変化、変容を遂げていくような関わりができるようになるには、知識や技術、経験だけでは足りなかったのです。

知識や技術、経験だけでは足りないものは一体何か?

それが「センス」だったのです。

 

冒頭で、

「コーチングを習い始めた頃、まだそれほど知識も技術も経験もないけれど、クライアントにとっても喜んでもらえた。」

と書きました。

なぜ、こういうセッションが起きたのか?

それは「センス」があったからです。

しかし、自分にそのセンスがあったということに全く気づいていなかったがゆえに、センスを開発する方向ではなくて、知識や技術、経験を求める方向に進んでしまったのです。

 

もし、あなたがコーチングセッションをしたとき、手応えが持てなかったとしても大丈夫だということを覚えておいて下さい。

手応えを求めるのではなく、ただ目の前のクライアントに意識を向け続けること。

それこそがクライアントにとって最も大きな貢献になるということを、どうか忘れないでください。