【エッセイ85】自分を責めるのをやめたら、習慣化できる!?
「中々、決めたことが続かないんです……」
20年に渡ってライフコーチングのプロとして300人を超えるクライアントさんの目標達成や課題解決のサポートを1対1の面談(セッション)で提供してきました。
5000回以上のコーチングで、クライアントさんからよく相談されるテーマの一つがコレ。
「習慣化」です。
新しいことを始める。
やりたくないのに続けてしまっていることを止める。
一人で頑張ろうとするけれど、どうしても続かない、やめられない。
何とかしたい! 次こそは! と意気込むが、1週間続いたら良いほうで、ほとんどはもって3日。中には一日しか続かないこともある。
正直、この習慣化がクライアントさんのテーマになるときは、ちょっと苦手でした。
というのも、私自身、中々うまく習慣化できなかったからです。
「え、でも、日記や家計簿を30年近く続けているんですよね」
私のことを知っている人は、意外そうな顔をします。
そんなとき、
(確かに、その2つはそうなんだけど、それ以外もできているかと言うと、そう全部が全部、うまく習慣化できているわけじゃないんだよね……)
と内心、ため息をつくこともしばしば。
そう、習慣化がうまくいくときと、そうでないときの違いが、自分でも完全には把握できていなかったのです。
だが、ここ最近、習慣化の精度が上がってくるようになりました。
どうやら、嬉しいことに習慣化のコツをつかんだらしい。
自転車に乗れたり乗れなかったりしていた状態から、デコボコ道では、ハンドルを取られてこけたりするけれど、普通の道では、まっすぐ乗れるようになった子供みたいなものです。
では、そのなんとなく上手くいったり、いかなかったりというところから、習慣化の精度が高まってきた要因は何だったのか?
それは、「習慣化が上手くいかないときも自分を責めない」ということ。
今までは、「よし、明日からこれをしよう!」と決意したことができなかったりすると、「また、決めたのにできなかった。オレはやっぱり意思が弱いんだ。なんでいつもいつもそうなんだ。続いた試しなんて何もないよね……」と自分で自分を責めてばかりいました。
あるとき、「そうだ、上手くいかなくても自分を責めることを止めてみよう」と思い立って、決めたことができなくても、「なんで自分は……」と責めるのを止めてみたのです。
すると、面白いことが起きました。
そう、少しずつ習慣化ができるようになってきたのです!
では、どうして自分を責めるのを止めただけで、習慣化ができるようになってきたのか?
自分を責めるのは、「次こそは!」と自分を発奮させることで、ヤル気を起こさせようとする、言わば「愛のムチ」のつもりだったのです。
だが、実際は、単に自分で自分を傷つけてしまっていただけで、ヤル気という血液が出血多量で死にそうになっていただけだったのです。そりゃ、継続する力なんて残ってない訳ですよ。
自分にムチ打つのを止めたことで、ヤル気の出血がようやく止まったのでした。
ヤル気の出血が止まったら、何かを続ける体力も気力もバッチリ残っています。
そして、続ける回数が増えれば増えるほど、習慣化しやすくなるのは間違いありません。
習慣化の精度が上がってきたことで、もう一つ気づいたのは、自分はものすごく完璧主義だったということです。
だから、一回取り組んで上手くいかなかったら、「自分はダメだ」と強烈なダメ出しをしていた。
でも、赤ちゃんが、1回のチャレンジで自分の足で立てるようになるだろうか?
当たり前だが、そんなことはあり得ません。
何度も何度も立とうとしてはコケて、また立とうとしてはコケる。
この、「立ってはコケ、また立ってはコケ」を、それこそ数えきれないほど繰り返し、だんだんとコツをつかんで、あるとき、フッと立てるようになると、今度はコケることのほうが珍しくなる。
習慣化も全くこれと同じ。
一回でそもそも習慣になんて、なるはずはない。
大事なのは試行錯誤しながら、改良し続けること。
そう。新しい習慣を身につけようとするのは、赤ん坊が立とうとするようなもの。
親は、赤ちゃんが何度コケても「頑張れ、頑張れ!」と励ますように、新しい習慣を身につけるのに必要なことは、ダメ出しではなくて、やり続けようとする自分を励まし、応援し続けることだったのです。
続かない自分を責めることを止め、新しい習慣を身につけようとする自分を応援する。
例え、すぐに上手くいかなかったとしても、温かく見守る。
あなたの中にも、習慣にしようと頑張っている小さな赤ちゃんが必ずいる。
どうか、その小さな赤ちゃんを虐待せず、暖かく見守って、応援してあげて下さい。
きっと、その赤ちゃんはすくすく育って、あなたに「習慣化」という喜びを与えてくれるでしょう。