【コーチ26】コーチングは第二領域を扱う
コーチングを始めた当初は、クライアントさんは何か解決したいテーマや課題を抱えていることが多いので、セッションではそれをまず扱っていきます。
ところが、そういうテーマや課題はどちらかというと何度も繰り返し起きていることなので、それだけを扱っていても対処療法的になってしまって、本質的な変化はなかなか起きません。
では、どこに焦点を当ててコーチングをすればいいのでしょうか?
故スティーブン・R・コヴィー博士の名著『7つの習慣』の「第三の習慣 ●最優先事項を優先する」に、時間管理のマトリックスという考え方が紹介されています。
図で表すとこのようになります。
緊急 | 緊急でない | |
重要 |
第一領域
|
第二領域
|
重要でない |
第三領域
|
第四領域
|
この図に当てはめると、コーチングを受け始めて間もない頃のクライアントさんが出してくるテーマは、緊急かつ重要であるという第一領域に入ることが多いです。
しかし、コーチングセッションを続けていくと、だんだんこの第一領域の課題やテーマが解決したり、解消していきます。
そうすると、「最近、テーマがないんですよね」とクライアントさんが言ってくることが多くなるのですが、これは第一領域のテーマや課題が減ってきたということで、個人的にはとても喜ばしいことだと思ってます。
そして、ここからが本当のコーチングのスタートだとよく言っているのは、コーチングの醍醐味は、重要かつ緊急でない第二領域を扱うからです。
では、第二領域をコーチングセッションで扱っていくとどうなるでしょうか?
かつて、ある企業の管理職をコーチングしていたときのこと。
その方には、ずっとやりたいと思いながらなかなか手が付けられていなかったプロジェクトがありました。
コーチングセッションの中で、時間管理のマトリックスを説明した後、そのプロジェクトに取り組むとどんな良いことがあるか? 最初の一歩は何か?をお聴きすると・・・
「プロジェクトメンバーが今、何に困ってるか聴くことですね。それが最初の一歩かな。」
「じゃあ、それをした後は、何をしますか?」
「その次は・・・」
といった対話を繰り返したことで、少しでも時間があるときに取り組みたい第二領域の活動リストができました。
次のセッションでお会いしたとき、プロジェクトが進んでいる様子を楽しそうに話してくださったクライアントさんの笑顔は、今も印象に残ってます。
もちろん、緊急なことは無くなりません。
でも、自分の大切にしている価値観に沿った重要だと思うことに少しでも取り組む時間を持てていると、他の仕事にも意欲的に取り組めるのではないでしょうか。
クライアントさんがイキイキとしていると、クライアントさんの周りにいる人たちにも活気を与えます。
クライアントさんがイライラからイキイキになるためにも、第二領域の活動に取り組めるようコーチとしてサポートしていってくださいね。