【コラム100】コーチの役割とは?
「コーチは、質問によって相手の中にある答えを引き出します」
「コーチは、相手の話を傾聴して、相手の自発性を引き出します」
本やセミナーなどでは、コーチについて、そんな説明が書かれています。
共通するのは、コーチが相手から何かを「引き出す」ということ。
ですが、本当に「引き出す」ことがコーチの役割なのでしょうか?
私自身、コーチングを習い始めた頃は、相手から答えや自発性、モチベーションを引き出すことがコーチの役割だと思っていました。
だから、引き出すための質問のレパートリーを増やそうとしたこともあります。
もちろん、質問のレパートリーはたくさんあるに越したことはありません。
ですが、質問を相手に投げかけても、あるときは、どんどん答えが出てくるけれど、別のときは、ぜんぜん出てこないということもありました。
「質問のレパートリーがたくさんあっても、答えを引き出せるとは限らない」
「では、答えがクライアントからどんどん出てくるときと、そうでないときの違いは何だろう?」
そんな問いが、頭の中にずっとありました。
すぐに答えは出なかったのですが、あるとき、フッと「場」という言葉が浮かんできたのです。
「畑の作物も、土壌や日当たりが良いとどんどん育つけど、土壌に栄養がなかったり、日当たりが悪かったりすると、なかなか芽が出ないし、成長も遅い」
「コーチングも同じで、答えがどんどん出てくるときと、そうでないときの違いは、コーチとクライアントの二人が作り出す『場』ではないだろうか」
確かに、クライアントが自らどんどん内省し、その場で気づいたことをどんどん口にし、そして、自ら口にした言葉から、さらに気づきが生まれる。
そんな気づきや答えがどんどん出てくるときというのは、独特な『場』があったのです。
その『場』では、コーチからクライアントにどんどん質問するというよりは、むしろ、クライアントから出てくる言葉を邪魔せずに、聴いていることが圧倒的に多かったのです。
では、その独特な『場』に共通していた特徴とは何か?
それが、4つのNで始まる言葉でした。
(次回に続く)