ヒロがミヤモトに導かれて連れていかれたのは、駅前の喧騒から少し離れた、水路の流れる閑静な街だった。
「ごめん、またせたな」 手洗いから戻ってきたミヤモトの声に、不思議な雰囲気の紳士に見とれていたヒロは我に返った。
バーでミヤモトとコーチングについて話してから、ヒロの心の中にこれからの道を照らす希望の灯りのようなものが生まれた。
ヒロはこの日、環状線の車窓から、窓の外を流れる街の景色を眺めていた。申し込みをしていたコーチングスクールの説明会会場に向かっていたのだ。
ヒロがコーチングスクールで学び始めて2週間が経った。「やあ!ヒロ、お待たせ!」声のする方に振り返るとミヤモトがこちらに走ってくる姿が見えた。