誰もが当たり前を生きるけど

私はあらゆるジャンルの書籍を読みます。
歴史書も好きですし、ノンフィクションや自己啓発、経済のや金融の仕組みなどを書いた本など・・・。本棚をみても、一貫性がありません。

好奇心が強いとも言えますが、無節操ともいえます。

小説も好きなのですが・・・なんせ、次から次へと読みたくなるタイトルが出てくるので、なかなか小説までは手が出せずにいました。

そんな中で、手にとった一冊が「星の子


2020年に、芦田愛菜さん主演で映画化されましたね。

ここ数年で読んだ小説のなかで、一番ステキだな、と思った作品でした。

新興宗教が題材だというと、おどろおどろしいイメージがないでしょうか。
ある教祖を狂信的に信仰するカルト宗教の内部とか、新興宗教にのめり込んだ主人公がだんだんと洗脳から覚めていく様であるとか。

この作品での新興宗教の描かれ方は、決して否定的ではありません。
主人公である娘ちひろの体調不良がきっかけで、両親は新興宗教に入信します。
両親による熱心な信仰により、家族や親族、周りとの関係が緩やかな軋轢をうむ様を、娘の視点から描かれていました。

私の学生時代にも、とある新興宗教の二世たちは何人かいましたが、「今週末、○○の集会があるよね~」と、同じ宗教の二世同士がほのぼのと話していたのを思い出します。

新興宗教の信者二世たちと聞くと、いろいろな先入観を抱きがちですが。
本人たちは生まれたとき、あるいは幼い頃から、日常が信仰が溶け込んでいます。本人にとっての「当たり前」を生きていく感覚は、信仰のない日常を生きる人と変わりがありません。

自分が生きてきた「当たり前」は、たとえ他者から指摘されない限り、その「異質」には気づかないでしょう。

宗教のコミュニティで育ってきた主人公が、一般社会では決して歓迎されない存在であることを、肌でひしひしと実感していきます。

ちひろは生粋の信者とも言えますが、両親のように熱心ではなく、かといって否定的でもありません。静かに揺れ動くちひろの心境は、私が接してきた二世の友人たちとも重なります。

派手な事件は少ない割に、一挙に読ませる力がある不思議な作品でした。