アナと雪の女王

「レリゴー、レリゴー」の歌声と共に、世界中で大旋風を巻き起こした「アナと雪の女王」。

アンデルセンの童話「雪の女王」が下地になっているとのことですが、実際には、ディズニーオリジナルと言っていいほど、原作とは異なっているそうです。

ただ、アンデルセンの作品がモチーフとなっているだけあって、様々なメタファーが隠されているように思えます。

幼い頃はずっと仲良く遊んでいた姉・エルザと妹・アナ姉妹でしたが、エルザの魔力によってアナを傷つけてしまったので、その力を封印し、アナとも距離を置くようになりました。

その後、姉妹は成長し、ある諍いから、再びエルザの魔力により、アナを傷つけてしまったのです。しかも今回は、致命傷を与えてしまい、アナは次第にみるみる衰弱していきました。

回復するには、何が必要か? それは「真実の愛」が必要と告げられたのですが・・・。

結果として、ハッピーエンドとなる、この作品。
まさに、アナが真実の愛を得ることが出来たので、命を取り戻すことが出来ました。

物語の最中で、アナの婚約者ハンスからのキスにより、真実の愛を得ようと彼の元に向かいます。
ここでアナは救われると思いきや、ハンスはアナを裏切り、アナは息絶え絶えになりました。

ここが他の童話、眠れる森の美女や白雪姫とは違う点です。
では、アナはどうやって救われるのでしょうか?

姉エルザさえも殺そうとするハンスから、アナは自分の身を差し出して、エルザを守りぬきました。

その瞬間、エルザの魔力で凍りついたアナの身体が溶けだしたのです。

それは、眠れる森の美女のような、王子様から与えられた愛ではなく、自ら「真実の愛」を実践することによってでした。

先ほどもお伝えしたとおり、エルザの魔力によって、アナは命の危機にさらされました。

ある意味、エルザはアナにとって、命を奪おうとした「敵」なのです。

ましてや、以前は仲良しだったのに、理由も知らされないまま無視され続け、好きな人への結婚さえも反対した相手です。

ストーリーの中ではそうは描かれてませんが、現実世界では、憎んでもおかしくない存在でしょう。
故意ではないものの、自分の命を奪おうとしたエルザに対して、アナは身を挺して助けたのです。

これは、キリスト教で言うところの、隣人愛-汝の敵を愛せよ の実践ではないでしょうか。
それこそが「真実の愛」で、全てを溶かす力をもたらしたのだと思います。

私自身を振り返ってみても、自分に辛い思いや体験をさせた相手を許すのは、簡単なことではありません。

ましてや、アナのように、わが身を挺することが出来るかどうかは自信はありません。

しかし、この映画が教えてくれた通り、汝の敵さえ愛せることが、自分を救う最大の道であることは間違いないと思います。