ラ・ラ・ランド

前作「セッション」で、鮮烈なデビューを果たしたデミアン・チャゼル監督がまたもややってくれました。

のっけから、繰り広げられるダンス・ダンス・ダンス!

90年代に話題をかっさらったインド映画「踊るマハラジャ」を彷彿させますが、それをハリウッド風により洗練したかのよう。半端ない熱量でした。

夢を追う二人の男女が主役です。

  • 売れないジャズピアニストのセバスチャン(セブ)は、ジャズバーを開く夢を
  • 女優の卵のミアは、ハリウッド女優として活躍する夢を

お互いを応援しあいながら、愛を深めあう二人。

油絵のように鮮やかな映像美と
ジャズが奏でる カラフルな響きが
二人の胸の高まりが伝えてくれます。

それが叶うためだったら、どんな苦労もいとわない。
夢をみること、それは今は手に入らないものを追い求めることです。
だからこそ平凡な日常に鼓動を与え、生きる世界を原色に変えてくれます。

しかし、そう長くは続きません。
夏から秋へと移り変わるよう、二人の色彩も変化が表れました。

映画の中の二人はそれぞれの道を歩み、実りの秋を迎えることができましたが。
あれほど夢みた暮らしも、日々の繰り返しのなかで日常へと着地していくのでしょうか。

安定は安らぎを与えてくれます。
しかし、刺激と欲望を与えてくれるのは、別のベクトルです。

熱に浮かれたよう、私たちは夢をみるなかで
自分がまだ出会えていない もう一人の自分を探し
生きる実感を求めていきます。

青春とよばれる時代から遠ざかる一方の私にとって、胸の奥にくすぶるものを刺激しました。
人生は基本的に、手を変え品を変えながらも反復を繰り返します。

予定調和がもたらす安らぎに、ぬくもりを感じつつも
何かを失っても、人生を賭けても 手に入れたいモノがあること
それは 一種の狂気がなせるワザだとしても・・・

どこかに置いてきたあの感覚への希求が、心をノックするのです。

ララランドという言葉には、「夢の国」という意味があるそうですが。
スクリーンの中の若い二人はディズニーランドのダンサーのよう、夢を語り、心を震わせ、未来に全てを賭けていました。

人生 そのはかない夢のなかにある 夢の国。
ディズニーランドはつかの間しか楽しめないからこそ、永遠に光輝くのかもしれません。