人生で後悔したこと

50年以上生きてきて、後悔したことなんて数限りなくあります。
歴史のなかで、黒く塗りつぶされた箇所なんぞ、どれだけあるでしょうか。

それはそうとして。
「あのとき、ああしておけば・・・」

事あるごとに、悔やんでしまうことがあります。

それは・・・
「虫歯の治療を、放ったらかしにしたこと!!」


あれは、小学校3年生くらいの頃。
右の下側の奥歯に、ぼこっと穴が空いているのに気が付きました。

イヤイヤながら、近所の歯科医に通わざるえません。
ずいぶん進んでしまった虫歯を削り、銀歯の型取りをした後、虫歯の上に仮の被せ物をしてもらいました。
数日間仮の被せ物で過ごしたあと、正式に銀歯を詰めてもらうだけ、そんな段階まで至ったのですが。

しかし・・・そこで治療を止めてしまったのです!!

いや悪気があったのではなく、予約をうっかり忘れてしまったのです。

大人になった今では、よくあることと笑っていられますが、当時小学生の私にとっては顔面蒼白レベルの大ごとでした。

親に怒られるのが怖くて、ドタキャンしたことも言い出せず。
親に許しももらったとしても、再び歯科医に行くには勇気がいります。
ドタキャンをマジで怒られるのが、めちゃくちゃ怖かったのです。

このままでは駄目だと焦りながらも、歯医者の件を親に言い出せませんでした。
幸いといっていいのか、親も忙しく、私の歯科治療の進み具合を聞いてくることはありませんでした。

結果、虫歯の治療は放ったらかしとなったのです。

頼りない仮の被せ物とは分かりつつも、それで何とか乗り切ろうとしたのでした。
子供なりのその見通しはやはり甘かった。
仮のものはすぐに取れてしまい、穴がボコッとさらけ出されることに。

虫歯は放っておいて、自然によくなるものではありません。
大きな穴はさらに大きく広がる一方。よくないこととわかっていても、治療に踏み出す勇気はありませんでした。

かなりの時を経て、ついに限界を感じました。
当時はまだ歯科医の数も少なく、同じ歯科医に通うことになったのですが。
内心ビクビクしながらでしたが、何も責められることなく、粛々と治療をしてくれました。

治療はできたのですが・・・ここで痛恨の事態が起こったのです。
あまりに大きな虫歯へと成長したので、神経を抜かざるえなかったのでした。

当時の歯科医では、ひどい虫歯の場合は神経を抜くのが定番の治療だったそうですが。
近年では、できるだけ歯の神経は残そうという方針となっています。
神経を抜いてしまうと、歯が弱くなり抜けやすくなるそうですので。

80歳になっても、すべての歯を残したい私にとっては痛手です。
後悔先に立たず。抜いてしまった神経はもう元には戻せません。

今にして思えば、ドタキャンしたことをあれほど大ごとと捉える必要はなかったでしょう。
とっとと親に謝り、シレッと歯科医に予約をし直して、治療してもらえばよかったのです。

だけど、親や大人が「巨人」に見えたあの頃の私が、言い出すことは至難の業でした。

あの時の勇気があれば、後悔せずにすんだのですが・・・トホホ。