冬の雪山にサンバも似合う?

音楽を聞きながら、のどかな風景をぼんやり眺める。

あぁ、この至福のひととき。

そう、私は電車の車窓をながめるのが大好きです。

 

この時もそうでした。

とあるローカル線、車窓の向こうは白い雪でおおわれた山々。

どんよりとした曇り空、静かでピンとはりつめた空気感。

そんななか、イヤホンからは明るいサンバ調のリズムが流れ始めました。

「うーん。この雪山に合わないなぁ。もっとしっとりした音楽でしょ。」

停止ボタンを押し、雪山とマッチングする曲を探してみたのですが・・・。

 

ふと、思ったのです。

「これって、不自由ではないのかな」

 

「冬」「雪」「寒さ」

頭で描いたイメージで、侘びしさを感じる曲を選ぼうとしました。

目の前の風景を、肌で感じたからではありません。

ただ私が何のイメージも全く持たず、ありのままで観たとしたら、どうなのでしょうか。

しんしんと雪が降り積もる山に、躍動のリズムを感じるかもしれません。

マンボにマラカスでも悪くはないでしょう。

ただ、いままで培ったイメージが先行してしまってるのですね。

雪山 = 寂しい。静か。

きまった公式しか使えないのは、あまりにも窮屈ではないでしょうか。

 

「こころの目でみて書いてね。

 はっぱの色はあかいろかもしれないし。

 空はきいろでもいいのよ。」

娘が通っていた保育園でのこと。

当時の担任が、子供たちの思うままに絵を書かせてました。

枠にとらわれない絵は、心に迫ってくるものがあったのです。

 

イメージの中で遊ぶのも、人間に与えられた喜びではあると思いますが。

時にはイメージから外れて、ありのままで向き合うと、今までとは目の前の在りようが違ってくるのかもしれません。

どちらがいい悪いではなく、ときどきで自由自在に選べたらいいですね。